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 過去に販売した本


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 太平洋の防波堤
 M.デュラス、田中倫郎 訳/集英社文庫/1988
 ¥600  

仏領時代のベトナム。太平洋に面した防波堤に土地を買い、そして破産したフランス人一家の悲劇と愛憎の物語。『ラ・マン』と同じく作者デュラスの少女時代の実体験を元に描かれた、植民地における人間関係や風俗の描写、そして野性的な恋愛模様が素晴らしい。母、兄、妹の三人が織りなす作者特有の風景、デュラスの世界における重要なテーマ・処女性のきらめきにしびれます。こちらは集英社文庫版。

 
 
 馬を愛した男
 テス・ギャラガー、黒田絵美子 訳/中央公論社/1990
 ¥1300  

アメリカの詩人にして作家、そして故レイモンド・カーヴァーの妻としても知られるテス・ギャラガーの第一短篇集。家族、結婚、女、男、そして自然。様々な要素を大切に包み込みながらゆるやかな流れのように進んでゆくテスの世界は、あくまで優しく暖かく、そして上質のユーモアでくるまれています。みずからのルーツやカーヴァーとの生活もエピソードのなかに巧みに混ぜながら、独自の視線を貫く美しく潔い短篇集。その自然の描写の豊かさゆえか、深い森のような包容力、暖かな雨が降る日のような懐かしさ、そんな香りが漂うような一冊でもあります。

 
 
 詩へ 詩から
 北村太郎/小沢書店/1985
 ¥1200  

詩人・北村太郎の詩論とエッセイ集。「荒地」の同人として、一人の詩人として、あるいはただの猫好きとして…。日々おこる様々な出会いと詩への思いと日常を穏やかに綴った文体はすがすがしく潔い。思い出の中に浮き沈みする人々との交流や記憶の断片は、ただやわらかく暖かく。随筆集としても存分に楽しめ、80年代の詩壇を知るにも得るものは多い一冊です。いまはなき小沢書店の造本も美しい。

 
 
 雨の朝パリに死す
 フィツジェラルド、飯島淳秀 訳/角川文庫/1971
 ¥400  

フィツジェラルドの短篇集。「バビロン再訪」などの別タイトルでも知られる表題作ほか、「冬の夢」「金持ちの青年」など代表的な短編5作が収められています。パリに帰ってきたばかりに再燃する若き日の放蕩の夢、それゆえの悲喜劇。フィツジェラルドの真髄が味わえる佳品で構成された、往年の角川文庫版です。表紙には映画化のスチール写真。

 
 
 言語の都市
 トニー・タナー、佐伯彰一ほか 訳/白水社/1980
 ¥2200  

言語の都市 -City of Words- 。それは、現代アメリカ作家が建設した「自由の最後の砦」。イギリスの文芸評論家トニー・タナーが1950年代から70年代にかけてのアメリカ文学を概観する本書に登場するのは、マラマッド、バーセルミ、バース、ナボコフら12人の精鋭たち。「この期間に小説の諸形式で表現されたアメリカ的想像力を理解すること」が執筆の第一の目的だと語る著者の見た、アメリカ小説から生まれる言語によって建造された都市とは。刊行から30年近く経っても名著の誉れ高い、アメリカ文学研究書として重要な一冊。読みやすい構成と訳文で、アメリカ文学に親しむ確かな道を案内してくれます。

 
 
 マラマッド短編集
 B.マラマッド、加島祥造 訳/新潮文庫/1984
 ¥600  

ニューヨーク出身のユダヤ人作家・マラマッドの短編集。「最初の七年間」「天使レヴィン」「夏の読書」「最後のマヒカン族」などのきらめく佳篇が13作収録されています。以前も紹介した角川文庫『魔法のたる』と収録作品は同じですが、こちらは加島祥造の名訳になる新潮文庫。亡命、商人、流浪などユダヤ人的モチーフの中で、恋愛や読書や旅を描き、人生の苦しさをそこから生まれる何とも言えないユーモアでくるみます。代表的な短編集である本書はマラマッド入門としても最適。優れた短編を味わう面白さと、独特の作風による不思議な余韻に包まれるでしょう。

 
 
 七つの人形の恋物語
 ポール・ギャリコ、矢川澄子 訳/王国社/1990
 ¥900 

↓にも文庫版で紹介した、『七つの人形の恋物語』王国社版です。物語はおなじみ、主人公の少女ムーシュと、人形使いの男との間に繰り広げられるメルヘン的なしかし倒錯したラブストーリー。翻訳には同じく矢川澄子、こちらの装丁には幻想的な作風にファンも多い、建石修志が筆をふるっています。イラストも多数差し挟まれ、作品のファンだけでなく、建石ファンにも嬉しい本書。現在は建石氏の別のカバーイラストによる版が刊行されています。巻末には精神医学者の山中康裕氏による解説付き。

 
 
 真夜中のマリア
 野坂昭如/新潮社/1971
 ¥1000   

元華族、屋敷は一万坪、気障に生きる事を信条とし、目下の趣味は楽器いじりとそして...カンという名の青年が、周囲や家族もともなって夜な夜な繰り広げる、破廉恥、乱痴気、放蕩の限り。ありとあらゆるエロとグロが、機関銃のように繰り出される言葉の連続と羅列とにあいまじり、めまいを覚えそうな本書。合間に実在の人名がふんだんに差し挟まれ、妙な既視感もこみあげる、野坂ワールド全開の夢見る物語です。装幀には宇野亜喜良。

 
 
 なくてななくせ
 笠信太郎/暮しの手帖社/1966
 ¥700   

ジャーナリスト・笠信太郎が雑誌『暮しの手帖』に晩年連載していたエッセイをまとめた一冊です。「よじのぼりたがるくせ」(何に?)「手をつなぎたがらぬくせ」(誰と?)「近道をしたがるくせ」(どこへ?)...というように、現代日本人の困った風潮を、"くせ"と称して評論。婦人誌の掲載らしく、優しい文章の中に、戦前戦後を駆け抜けたジャーナリストの鋭い視点が光ります。本書発行の翌年に著者は永眠しますが、その時から40年。日本もどう変わったのか変わらないのか、みてみるのも面白いのでは。ユニークな装幀はもちろん花森安治。

 
 
 怪盗ジバコ
 北杜夫/文春文庫/1974
 ¥500   

ジバゴではなく「ジバコ」の名を持つ怪盗が登場する、北杜夫によるファンタジー。もちろん子供向けとは言えず、さりとて大人向けと言ってもよいのか...明智小五郎やジェームズ・ボンドらを向こうに回しての大活躍は、空想か妄想か。どくとるマンボウの愛すべき偉大なる稚気によって生み出されたキュートな一冊です。それ一本がまるで短編のような、遠藤周作による解説つき。表紙には谷内六郎というのも嬉しい。

       
 

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