新しい特集コーナーがはじまります。掲載するのは海を渡ってはるばるやってきたドイツの本。東と西に別れていた時代から、ひとつになった今まで、ドイツには様々な魅力を持った本が生まれて来ました。ベルリン在住、ブックスリパブリック初の特派員の協力で実現したこの企画。ドイツ語というあまりなじみのない言語にも皆様にはおつきあい頂いて、私たちの好きなドイツの本をこれから色々ご紹介していきたいと思います。  特集協力:山田庸子



 
uncle ■sold
Das Magazin Heft1 Januar 1963
Das neue Berlin発行(旧東ドイツ)/1963
\1500
旧東ドイツの娯楽雑誌「ダス・マガジン(The Magazine)」。60年代の東ドイツという複雑な時代にありながら、誌面は明るく活気に満ちています。何よりもカバーイラストが素敵。当時人気だったヴェルナー・クレムケによるもので、そのイラストの中には毎回どこかに黒猫が隠れているのです。当時の東ドイツの人々は「今月はどこかな?」と言ってこの黒猫ちゃんを探すのが楽しみだったそう。この号は新年号なので、黒猫はシャンパンを抜こうとしているところ。額には12時を待つ時計の針があり「新年に乾杯!」のセリフも。内容はほぼモノクロながら、随所に60年代らしいグラビアやカットがちりばめられていて、あの国のあの時代の知られざる様子が、そのディテールから香ってきます。

 
 
funenohon ■sold
Das Magazin Heft9 September 1963
Das neue Berlin発行(旧東ドイツ)/1963
\1500
同じく旧東ドイツの娯楽雑誌「ダス・マガジン(The Magazine)」。この号のカバーでは、枝にとまる可愛い小鳥ちゃんにスーツを着た黒猫がとびかかろうとしています。他、芸術における裸体の考察や、パリとベルリンのモードページなどおしゃれページも充実。イラストやコミックも随所に顔をだし、その白と黒と赤のページデザインがモダンと粋を演出しています。

 
   
rose ■sold
Das Magazin Heft10 Oktober 1963
Das neue Berlin発行(旧東ドイツ)/1963
\1500
同じく旧東ドイツの娯楽雑誌「ダス・マガジン(The Magazine)」。この号のカバーでは、体全体に入れ墨をほどこした水兵さんが、入れ墨の美女とキスをしようとその巨体をかがめています。左腕の女性がそれに嫉妬しているのも可愛い。黒猫は彼の右腕に描かれてその様子を見ています。内容は、モスクワ映画祭の女優ポートレイトや、海辺のカップルの詩と写真、雨の日のファッションコーナーにモノクロとはいえヌードまで!この「ダス・マガジン」は、東独で初めてヌード掲載が許された記念すべき雑誌でもあるのです。上2つに比べてもビジュアルページが多く、デザインも美しい一冊。

 
   
funenosekai ■sold
Das Kind und seine Umwelt
Karlheinz Siek/Verlag Volk und Gesundheit Berlin発行(旧東ドイツ)/1979
\1400
「6才までの子供との心のつながりのために」という副題がついている本書は、ドクターが若い親に向けて、子供の健康や情操教育をアドバイスした育児書です。赤ちゃんの時の体の成長、少し大きくなったときの接し方、幼稚園に上がったら、小学校に行ったら...そんな子供時代の心と体の問題をイラストと写真と文章で綴ってゆきます。文章だけのページも多いのでとっつきにくい感じがするかもしれませんが、差し挟まれる素朴なイラストや子供の表情がとても愛らしい一冊。子供に関する本って万国共通の雰囲気を持っているような気がします。下にご紹介する、東ドイツ時代の児童雑誌「BUMMI」がいかに当時の子供達に愛されたか、を解説したページもあります。

 
   
bee ■sold
BUMMI  Sammelband
Verlag Jungewelt Berlin発行(旧東ドイツ)/1986
\2800
東独時代、幼年の子供達に広く愛された児童雑誌「BUMMI」。これは、一年に一度発行されるその合本形式の年鑑です。1月から12月までカラー満載で贈る、楽しくも可愛らしいドイツの子供の世界。歌や遊びやぬいぐるみやお絵かきや間違いさがし。そして毎号つけられる、切り取って本にする事もできる12コマ絵本の愛らしさ!はっきりした線のカラフルなイラストや、メルヘン調の淡いイラストなどなど、スタイルの違う絵柄が何種類も載せられており、その賑やかさは画面ではお届けするのが難しいほど。数々の賞をとったと自負する文章も巻末にあり、東独時代の誇るのどかで素敵な子供雑誌のエッセンスをお楽しみ下さい。

 
   
tachibana ■sold
Florentine
James Kruss 文・Erika Meier-Arbert 絵/
Otto Meier Verlag Ravensburg発行(旧西ドイツ)/1969
\800
とてもカラフルな表紙の女の子は、元気でおてんばで詩なんかも書いてしまうこの本の主人公フロレンティーネ。彼女の日常を12章に分けて紹介してゆく女の子万歳!な可愛いポケットブックです。文字中心ですが、あちらこちらに顔を出すフロレンティーネの詩やイラストがとてもキュート。「痩せっぽちで空想の好きな子がいたら、それはフロレンティーネです」と裏表紙にあるように、まるで彼女はドイツ版「赤毛のアン」。ラーゲンスブルガーポケットブックという、岩波少年文庫のようにドイツの少年少女に向けて編まれた児童シリーズの一冊です。

 
   
police ■sold
Willwack
Guenter Spang/Otto Meier Verlag Ravensburg発行(旧西ドイツ)/1967
\800
風車マークが目印の、同じくラーゲンスブルガーポケットブックの一冊。旅が大好きなペンギン、ビルバックの冒険のお話。胸のところに一ケ所ほくろがあるために、他のペンギンとどこか違うビルバック君は、北極のくらしに何となく退屈している。そこで... 好奇心旺盛なペンギンの巻き起こす騒動をふんだんなイラストで綴ってゆきます。児童書界ではなじみ深い「大どろぼうホッツェンプロッツ」の挿絵画家、トリップがそのイラストを担当してるのも嬉しいおまけ。鮮やかな黄色のカバーが目をひきます。ビルバック君は好奇心を満足させ、最後は北極に戻りめでたしめでたしとなるでしょうか。

 
   
sonya ■sold
Dreh dich Karussell
Der Kinberbuchverlag Berlin発行(旧東ドイツ)/1959
\1500
タイトルは直訳すると「まわれ!メリーゴーラウンド」。表紙をめくると、扉の部分にベルを鳴らすサーカスの団長さんとおぼしきおじさんが。「さあ、早くお乗りなさい!」と手招きする彼に導かれ、少年少女を乗せたメリーゴーラウンドは回りだし、彼らの素敵な時間が始まります。そこにはバッファローと戦う少年の物語あり、マッチパズルあり、楽しいコマ漫画あり。戦争や友情について、などなど教育的なページも多く、子供が読んで楽しくためになるようにと工夫をこらしたお話が50以上も詰め込まれています。こういった子供向け雑学百科のような本ってどこか懐かしい。中国やソ連(当時)の話題も盛り込まれているのが東独らしく、そこに住んでいた当時の少年少女たちの香を密かにかぐことができる不思議な雰囲気の本です。こちらも文字が多いのですが、イラストページも多く、何よりも扉をはじめ随所に使われているタイポグラフィが美しい!文字もビジュアルのひとつと考えられる一冊です。

 
   
dokkoi ■sold
Der kleine Kuno
Peter Brock/Der Kinberbuchverlag Berlin発行(旧東ドイツ)/1972
\1000
「まだ6才にもならないけど一人前の男さ!」と自分で思っている元気な男の子クーノが、汽車でよその町へピクニックに行く途中に起こるいろんな出来事。クーノは勇敢にも大事なテディベアだけを抱いてひとりで町にくりだし様々な体験をします... 文字中心の児童よみものながら、可愛く楽しいペン画のような挿絵も多くはさまれとてもにぎやか。その様々な表情を見せるしゃれた2色刷りイラストがクーノの一夜の冒険と大人たちの騒ぎを効果的にコミカルに表現しています。

 
   
dokkoi ■sold
Das eigene Reich
Anneliese Ertl/Frank'sche Verlagshandlung Stuttgart発行(旧西ドイツ)/1959
\1350
直訳すると「わたしだけのお城」。夢のお部屋を実現させるべく、可愛くもつましいDIYが指南された本です。目次には「幼い頃の夢」「なんのためにあなたの部屋はあるの?」などなど、少女時代から主婦に成長するまで、女にとって自分だけの空間を持ち、それを美しく保つ事がどれだけ大事かを気づかされる構成になっています。カーテンについて、家具について、じゃあ部屋の壁はどうする?...などなど文字中心ですが、ところどころ挟まれる挿絵の女性達の表情が、どことなく東郷青児の絵にも似てとても個性的で美しい。みんな勇ましい格好で内装と取り組んでいたり、優雅に椅子でくつろいでいたり...そのどれもがあなたなのよ、と言ってくれてるようです。この本に共感できない女の子っているのかな。

 
   
funatabi ■sold
WOHNIDEEN  Kinder zu Hause
Verlag die Wirtschaft Berlin発行(旧東ドイツ)/1983
\3200
東ドイツのつつましい家庭においても子供部屋は重要な問題。この本では、赤ちゃんから年頃になるまで、順を追ってそれぞれの年代の子供部屋のアイデアを紹介しています。部屋の写真はほとんどがカラーで構成されており、新しい年代に入る時に挟まれるモノクロの詩的な写真が素晴らしい!部屋それぞれは明るさと色に満ちあふれ、社会主義国=味気ないという図式はまったくあてはまりません。子供の表情も各部屋のディテールも可愛らしく、ある部屋にはモンチッチまで置かれているのが嬉しい。これらの子供の部屋をのぞけば、その暖かい家庭も想像できて、インテリア本としてだけでなく様々に楽しめる一冊です。是非ご覧下さい。

 
   
norimono ■sold
Guter Rat 81年3月号
Verlag fuer den Frau発行(旧東ドイツ)/1981
\900
タイトルの意味は直訳で「よき提案」つまりグッドアドバイスです。この雑誌は上記「ダス・マガジン」と同様、旧東ドイツ時代のもの。内容は、住まい、子供、家庭、料理、インテリア....おもに女性を対象に、よりよい暮しのために様々な提案をかかげる大判の写真雑誌です。と聞くと日本のある雑誌を思い出しませんか? そう、戦後から女性の暮しを常に追い続けた我らが「暮しの手帖」です。この「グーター・ラート」も戦後の東ドイツの女性達に愛された素敵な情報がいっぱい。この号には、たとえば冒頭から「空想好きの子供」との接し方、「子供部屋のシステムベッド」の間取りについて、「離婚時の財産分け」について..などなど奥様たちに見のがせない話題がいろいろ。使いやすい家電や台所道具についてのリサーチも「暮しの手帖」によく似ています。他にもクラフト、ドライフラワー、離乳食についてなどなど。そして親と子で作る手芸ページのかわいらしさ!32ページという短かさながら、ドイツの女性の知恵がいっぱい詰まっています。

 
   
syokutaku ■sold
Guter Rat 86年2月号
Verlag fuer den Frau発行(旧東ドイツ)/1986
\900
こちらも同じく「グッドアドバイス」の数々が掲載されています。"AKA Multifix"という様々な用途に使える小さな料理機の「家電テスト」も行われてて、ますます「暮しの手帖」と間違えそう? 他、日焼マシーンや旅行に携帯するお薬、読者のお住まい拝見!なんていうページもあります。手づくりページでは、子供の誕生パーティーを催す際に役立つミニエプロンや陽射しよけの帽子まで。でも小さなお客さんをもてなすために今のお母さんは果してここまでできるでしょうか...? そのエプロンと帽子をしっかりかぶった子供達の楽しいパーティー写真が可愛い。最終ページに手づくりソファ!と香料入れの引き出しの作り方を掲載してこの号は締めくくられています。

 
   
uma ■sold
Wohnen
Verlag fuer den Frau発行(旧東ドイツ)/1986
\900
「グーター・ラート」と同じ出版社から発行されている、こちらはタイトルもずばり「住む」という雑誌です。美しいカラーとモノクロページで構成されており、リビングや客間・子供部屋など住まいと部屋のありかたを紹介します。この号の冒頭テーマは「古さと新しさの同居」。ドイツ特有の素敵に古びた住宅を、新しく快適に住み直し保存し続けるために紹介された様々な例と提案が興味深い。日本に住む私達にも気になるディテールがいっぱいです。他、ワンルームの暮し方や、家具の選び方に色の配置なども。空間の活かし方ページでは妙にアバンギャルドな部屋たちが見られます。豊富な写真と図解からは、全体的に機能的な部屋の感触が伝わって来くる、80年代の東ドイツのインテリア雑誌です。 ※クリックして詳細をご覧下さい。

 
 
     
いかがでしたでしょうか。雑誌などは日本人にはなじみのないものですが、それゆえ手に取れば遠い東独に思いをはせる楽しみもあるような気がします。これからできるだけ長くやっていきたいと思っていますので、どうぞまたよろしくお願い致します。 (02.10.25)uma
 


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