このコーナーに掲載するのは海を渡ってはるばるやってきたドイツの本。東と西に別れていた時代から、ひとつになった今まで、ドイツには様々な魅力を持った本が生まれて来ました。ベルリン在住、ブックスリパブリック初の海外特派員の協力で実現したこの企画。ドイツ語というあまりなじみのない言語にも皆様にはおつきあい頂いて、私たちの好きなドイツの本をこれから色々ご紹介していきたいと思います。  協力:山田庸子


 
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Das goldene Tor
Adolf Zabransky / Verlag SNDK Prag 発行(プラハ)/ 1963
\4500
タイトルの意味は「黄金の扉」。「黄金の鍵で扉をあけよう..」こういった、乙女や動物たちが主役となった小さな詩がいくつも綴られ、それにあわせて様々なイラストが描かれた、マザーグースのような構成になっている本書。その絵のひとつひとつの丁寧さ、少女たちの愛らしさ、動物たちの可愛らしさには、思わず目をみはるほど。この美しい挿絵群だけでも一見の価値あり、です。不思議な詩にのせて、衣装も雰囲気も民族的な魅力を演出し、ふんだんに描かれた乙女たちの清楚な美しさが独特のたたずまいを醸し出した、本当に素晴らしい出来ばえです。版型もかなり大型で、ヨーロッパの絵本の存在感を堪能できる、是非手にとって欲しい一冊。元々の発行は当時のチェコスロバキア国内で、翻訳をほどこしドイツ向けに編集されたもののようです。テキストはドイツ語。

 
   
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Meine ersten PIXI-Buecher / Serie1
Carlsen verlag 発行(旧西ドイツ)/1979
\2500
こちらは反対に、小さな小さな本のシリーズです。9ヶ月児から2歳までを対象にした、子供がふれる "初めてのピクシー絵本"シリーズ。一種の知育本のような構成になっており、子供たちが日々の生活の中で体験し覚えてゆかねばならない事柄を、一人の小さな女の子の生活を追うことで、優しくわかりやすく表現しています。それぞれテーマは「遊ぶ」「食べる」「寝る」...などなど。そのどれもがシンプルにかつ可愛らしく、計14ページの短さの中に、小さな子供の、でもとても大切な日常風景が描かれています。写真絵本ととしても秀逸なこのシリーズ。6冊セットでお届けする豪華な内容です。

 
   
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Tobis boeser Traum
Das neue Berlin発行(旧東ドイツ)/1963
\3500
テレビを見ている少年トビー。ブラウン管には何やら恐ろしげな長髪の男(解説にはインディアンとありますが)がうろうろ。この怪しい男にトビーはハラハラドキドキ。やがてベッドに入っても夢にみてしまう程....そしてこの写真絵本が面白いのはここからです。左ページには、夢からさめて父親に慰められるトビー、それと同時進行で、右ページにはブラウン管の中の現実が描かれます。カメラマンが立ってて、血はケチャップで...? つまりこれはみんなお芝居で、後ろではカメラが回ってて、悪者も良い者も休憩時間には仲良くしているってこと。子供がテレビに影響を受けすぎないよう、というメッセージが込められた演出の絵本ですが、セリフは一切なく、ぱっと見て一度に理解するのは子供には難しいかも。それよりも、モノクロで統一したその画面のかっこよさ。登場人物たちの、どこかシニカルでブラックな雰囲気の動きや表情。テレビと子供というテーマの知育絵本ですが、やはりそのビジュアルの完成度の高さに目がいってしまう佳作です。

 
   
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Verrueckte Kiste
Thomas Schleusing/Der Kinderbuchverlag Berlin 発行(旧東ドイツ)/1983
\2400
「おかしな箱」というタイトルの通り、びっくり箱をあけた時のような、不思議な驚きと笑いに満ちたユーモアイラストレーション集です。卵やお月様、アベックやマトリョーショカなど色んな素材を扱って、それを一コマあるいは一ページのコミックに仕立てたものが、フルカラーでずらりと並びます。可愛くてクスっと笑えるものから、ブラックなもの、時には子供向けとは思えないような色っぽいものまで、どきっとさせられるワンシーンがいっぱい。古き良き「漫画読本」などで愛された、ヨーロピアンコミックなどに興味のある方は是非。一コマ漫画の楽しさが存分に味わえる、旧東独のしゃれた一冊です。

 
   
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Lelebum
Binette Schroeder/Thienemann Verlag Stuttgart 発行(旧西ドイツ)/1972
\1500
普通の象は灰色なのに自分だけ青い...そんな事を悩んでいる、レレブムは青い象。緑のものをいっぱい食べて緑色になってみたり、白い花にまじって真っ白になったり。そのどれもが気に入らなくて最後は自分で流した涙の池に飛びこんで...結局最初の青色に元通り。「灰色の象はいっぱいいても青い象は自分だけ」と、他人と違うという事の価値にめざめてハッピーエンド、可愛らしい自分探しの旅は終わります。レオーニ「あおくんときいろちゃん」にもあるように、子供たちにアイデンティティを伝えるのは色を使うのが効果的。すべて韻を踏んだ原語の響きもとても美しい、日本でも矢川澄子の名訳で長く愛されている「ぞうさんレレブム」の原書です。

 
   
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Vater und Sohn
e.o.plauen (Erich Ohser)/Verlag Ravensburger 発行(旧西ドイツ)/1977
\1500
とても子煩悩な父親が、息子と一緒にくりひろげる楽しい日常生活を題材にした、戦前のドイツを代表するコミックのペーパーバック版です。"おとうさんとぼく"はいつでも一緒。やもめらしきおとうさんが息子にそそぐ愛情が、ほほえましくも可笑しみ溢れる、今もなお世界中で愛されている作品です。作者のプラオエン(本名はエーリヒ・オーザー)は、当時風刺作家として腕を振るった人物で、ナチス政権のもと政治色を一切排除し、名を変えて作ったのがこの物語。そういう背景をみじんも感じさせないこの作品には、2人の小さな世界にあふれる大きな愛情が詰まっています。

 
   
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Witz auf Witz
Zbigniew Lengren/Der Kinberbuchverlag Berlin発行(旧東ドイツ)/1984
\2500
ポーランドを代表する風刺画家にして児童作家レングレンの、楽しいコミックとイラストレーション集ドイツ版です。冒頭には、子犬と二人暮らしのとぼけたおじさま「プロフェッサー・フィルテーク」の3コマ漫画。キュートでとぼけたキャラクターには忘れがたい味わいがあります。そのほかフルカラーの1ページイラストレーションでは、トリックとウィットのきいた秀作が連なり、モノクロの線画ではリラックスしたユーモアが楽しめます。少しずつ雰囲気の違う、でもとても愛らしく魅力的なタッチは、最後の1ページまでもう子供ではない私たちをも楽しませてくれます。作者レングレンは、母国ポーランドでは今もなお新聞連載などに登場し、シュルツのピーナッツシリーズ並の人気を誇る人物。この東欧のユーモア世界にぜひ触れてみて下さい。

 
   
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Icke,dette,kieke mal
Karl Schrader/Der Kinberbuchverlag Berlin発行(旧東ドイツ)/1986
\1800
こちらも同じく楽しいコミックとイラストレーション集です。タイトル「Icke,dette...」はおそらく「見てみて!」の意味。ベルリンなまりの可愛いこども言葉のよびかけに応えて覗いてみると... 笑ったり怒ったり泣いたり、色んな子供の色んな表情があふれています。 特に、一番最初に登場する真夏のサンタクロース親子(ビッグサンタとミニサンタ!)のキュートなユーモアは必見。さしずめサンタ版「おとうさんとぼく」のような、可愛くもほろりとさせられる珠玉の名作集です。そのほか茶目っ気たっぷりのイラストがところ狭しと描かれ、どのページをめくっても楽しめること請け合い。この本は、そこに描かれていなくても、それを見る子供の喜ぶ表情も想像できてしまうようなとっておきの一冊です。

 
   
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Meyers Kinder-Verkehrsfibel
Bibliographisches Institut AG Mannheim発行(旧西ドイツ)/1962
\2800
道路に出た時の心得を、子供にしっかりと教えなくてはならないのは万国共通です。これは、信号の守り方や自転車のマナー、車への注意など、道路上でのありとあらゆる場面での対処を教えてくれる、子供向け交通安全ブック。ほぼすべての見開きページに美しい色彩でイラストが掲載され、子供の想像力を刺激し道路の状況に応じてどう動けばよいか自ら考える素敵な手助けとなっています。横断歩道で、公園で、雨の日、雪の日、山道、踏切....そのどの場面でも、この的確かつどことなくユーモラスなイラスト(そして当然可愛い!)が描かれ、私たちに60年代のドイツのごく普通の町並みや交通風景を教えてもくれます。面白いのは、自転車での交通マナーに多くのページを割いていること。美しいヨーロッパの町には欠かせない自転車の風景は、こういう心構えで守られているのだな、と思わず実感。ドイツの交通標識一覧のページも見のがせない、見て楽しめる子供の実用書です。

 
   
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Puppenspielereien 2
I.B.Klein,G.Schuemitz/Verlag fuer Lehmittel Poessneck発行(旧東ドイツ)/19**
\3500
ドイツでは今もパペットシアターは子供たちに人気です。これは、指人形や腕人形からマリオネットやもっと大仕掛けのものまで、子供たちが自分で考え自分で作れるように、パペット作りの手ほどきを示した実用絵本です。でも、この本の魅力を説明するのは短い中では困難かもしれません。パペット作りの製作課程を描いたひとつひとつのイラストは本当に愛らしく、カラフルで素朴な色合いの中で人形たちは今にも動き出しそう。そして実際に人前で上演できるように、台本までついた完璧なフォローも頼もしく、自分たちの手で遊びを生み出す喜びを子供たちに提供する役割も果たします。ドイツにおけるパペットの歴史の深さや人々の愛着もひしひしと感じられ、イラストの見事さもさることながら、その内容も素晴らしい逸品。巻末には旧東独の誇るパペットシアター資料館の情報も掲載され、パペットに興味のある方には特におすすめです。

 
   
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Ich kenne die Schiffe
Alain Gree/Neuer Tessloff Verlag 発行(旧西ドイツ)/1971
\3500
こちらは船の絵本です。港につながれて売られている一隻のボート"ジュール"は、小さくて誰も見向きもしません。でも小さな船だって大きな航海に出られるんです...この絵本では、「船のこと知ってるよ」のタイトル通り、古今東西の様々な船の種類と共に、その航海を子供にもわかりやすくイラストで解説しています。帆船の各部分の解説やヨットの内部の図解などは、アラン・グレー氏のイラストの魅力が全開、ダイナミックかつとてもキュート。そしてジュールにはやがて素敵なキャプテンが現れ、後半部分は彼らと一緒に心躍る航海に出発です。船の本といえば、日本では迷わず柳原良平氏を思い出しますが、こちらも船への愛情は負けてはいません。船のこと、海のこと、その両方の歴史のことに子供たちを楽しく誘う素敵な絵本です。

 
   
   
いかがでしたでしょうか。今回は子供の本に焦点をあて、ラインナップを作りました。素朴なものあり、デザインに優れたものあり...作業をしていても興味はつきません。おまけページもまた作りましたので、お時間のある方は是非覗いてみてください。(最終更新 03.3.18)clover
 

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