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さて、特集はお楽しみ頂けましたでしょうか。 このドイツから来た本たちに少しでも興味を持たれた方が一人でもいらしたら本望です。その方のためにと言ってはなんですが、特集協力のBRドイツ特派員氏にご登場願って、ドイツの本やベルリンのことなどちょっとおしゃべりしてみました。

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山田庸子  Yoko Yamada
東京生まれ。冬支度のベルリンをますます元気に闊歩してます。サイトを抜け出し一風変わったペーパーを思案中。私的ベルリン案内サイト"Bear Hunt ベアハント"管理人。
http://www.bearhunt.de/


*お城...:大体ロマンチック街道最終地点のノイシュバンシュタイン城が使われる事が多いよう。ここは映画『神々の黄昏』でも有名なバイエルン王ルートヴィヒが湖に身を投げたお城。美しい城と自然の調和が見事。

*ブルーノタウトが手がけた住宅:「ベルリンには彼の作品が数多く点在してるのですが、全て泊れるというわけではなさそうです。実際見学したけど、今の人の生活感ではちょっと窮屈かなという感じ。よほどシンプルに生きないとだめでしょうね。文化住宅の香りがすごくしました」(山田)

*蚤の市:オススメはこの3つ。
●6月17日通りの市:
Strasse des 17.Juni
(SバーンTiergarten駅下車)
●ボックスハーゲナー地区の市:
Boxhagener Platz
(U5 Samariter Str.下車)
●アルコナ広場の市:Arkona platz
(U8 Bernauer Str.下車)
どれも生活に密着した愛すべきガラクタが見つかる市。Sバーンとはドイツ鉄道の都市在来線の事。Uバーンは地下鉄。この2つがベルリンの町を縦横に走ります。

manbow
*鳥のエッグスタンド:こういうの。プラスチックでカラフル!


manbow*古いガイドや地図:
「例えばこの一冊。60年代のもので、大好きなカールマルクスアレイのお店全てを記載。近郊行楽地も網羅、カフェお食事処も載ってます。これが今の所一番のお気に入り」(山田)

*エーミールが乗ったコンパートメント:『エーミールと探偵たち』の冒頭シーン。ベルリンに来る途中で緊張していたエーミールは、その列車で相席になった男になけなしの140マルクをすられてしまうのです。

*ホテル・ウンターデンリンデン:Hotel Unter den Linden.旅行記にも書きましたが、旧東側にある往時の繁華街ウンターデンリンデン(菩提樹の下)通りの角にある歴史あるホテル。ロビーにNY時間なんて電光掲示してあるのが不思議だった。誰が知りたいんだろう。

buch
私たちが考える「ドイツが香る本」を勝手に選んでみました* 今回はドイツ(と番外でチェコ)に関する旅の本。


manbow どくとるマンボウ航海記
北 杜夫
1960年初版
現・新潮文庫
BRのオススメマンボウ本第二弾。大学で精神医学を学んだ後、一念発起して留学した著者の、あまりにも有名なヨーロッパ見聞記です。当然ドイツもでてくるのですが、旧制時代にドイツ語を専攻した著者らしいエピソードも楽しく全編とぼけた味の不思議な旅行記。船の旅というのがまたいいのです。写真は中公版のもの。


buch ビールと古本のプラハ
千野栄一
白水Uブックス
1997年
チェコ文学の日本における第一人者・千野氏の50年代からの留学に始まるプラハつづり。表題の通りビールを味わい古書を探しチャペックを語り..そして文学とは国とは社会主義とは、という深い考察に自然と沈んでゆく名著。新書らしく気軽に読めるのも魅力。鬱蒼とした50-60年代のチェコの香りを嗅ぎ取ろう。


buch
今回は航空会社のこと*

lufthansa ルフトハンザ公式HP
http://www.lufthansa.co.jp
雑誌『relax』80号のルフトハンザグッズ特集はご覧になりました?機内食についてくる紙袋入りのソルト&ペッパーまで持ってくる!?と思ったのですが、実は私も持ってきていた事が判明↑。可愛いさのあまり、カバンに入れて忘れていたようです。そんな、デザイン好きの心を刺激し続けるルフトハンザ魅惑のHP日本版。マイルをためるとオリジナルバッグ等がもらえるそうです。縁遠いはなしです...





clover 今回はベルリンへの旅のこと

ブックスリパブリック(以下BR)こんにちは。この間のベルリンではどうもありがとうございました!色々案内してくれたり助けてもらったりして。本当に楽しかった。

ヨウコさん(以下Y):どういたしまして、こちらこそ。行く先々までの電車内や道ばたでのおしゃべりが懐かしい。BRの旅行記を見て、在住者なのにまたあらためてベルリンを反芻してしまったりして。

BR:私は初めてのベルリンだったけど、その第一印象は「とてもシンプルなまち」。というより普通の大都市。今までドイツに抱いていたイメージがやっぱりやや西よりだったのか、メルヘン街道的なもので占められていたからかも。統一前のドイツ旅行では、日本人的には都市を楽しむ、なんてコンセプトはなかったと思うし。

Y:メルヘン街道、ロマンチック街道ね。確かにそんないかにも「ドイッチュ」的な派手な観光スポットではないかも、ベルリンて。

BR:そう、旅行会社へ行ってもドイツといえばその辺ですよね。お城*がパンフレットの表紙になってたりして。ビールにソーセージにチロルっぽい衣装で迎えてくれて...って古すぎでしょうか。ベルリンはそんなイメージの「ドイツ旅行」を心地よく裏切ってくれる素敵な街。広い道、沢山のビル群、菩提樹、あちこち工事中で、テレビ塔にブランデンブルク門など東西に別れてた時代のランドマークも見どころだった。未来建築もあればドイツらしいナイーブさもいっぱい。普通の大都市どころか、やっぱり歴史も文化も突出した町ですよ。東西統一による都市の再生がまだ進行中で...ってすごい紋切り型な言い方だけど(笑)。

Y:日本の年輩の方は、やっぱり西側の街道がドイツに来たって感じにさせてくれるみたいだけど、ベルリンも、ラブパレードとかマラソンとか見本市とか...色々あるのでお客さんは多いと思う。それに、大きくは宣伝してないけど実は色んなものがたくさんあります、ベルリンて。デザインでいうとバウハウスやヴィトラだけではなく、ブルーノタウトが手がけて今も実際に住める住宅*とか。商売商売してない空気感がベルリンらしい。BRさんも言ってたけど、そういう施設の情報がもうちょっと簡単に入手できるようにしたらもっともっと魅力的な街になるんじゃないかな。

BR:そう、駅にも道にも美術館の表示は少ないし、旧西側の都市と比べても英語のできる人も少ない印象。でも逆に、そういった観光客扱いしてくれない点が、ある意味オスト(=東)的で心地よかったのかも。

Y:ベルリンに限って言うと、素敵な雑貨や古本に巡り合える可能性も多く含んでるけど、あまり躍起にならないで街そのものもぜひぜひ楽しんでほしい。フランスとチェコに挟まれて、イマイチパッとしないドイツですが結構そこが面白かったりもするんで。頑張ってほしいな、ドイツもベルリンも。

BR:エーミールが『探偵たち』の中で張り込み中に、「ベルリンは美しいよ」と友人にぽそっとつぶやくシーン。あそこが大好き。


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BR:蚤の市*も独特でした。海外の市って私自身はロンドンくらいしか知らなかったのですが、パリなどは友人知人からよく聞いていたし、雑誌でもそりゃあ膨大に特集されてますよね。何でみんなこんなにパリの蚤の市好きなの!?っていつも驚く(笑)。だからパリ未経験ですがすっかり行った気分でもあって。ベルリンの市の様子を日本から知る事は、さすがにまだ少ないですよね。最近はドイツ行こう、みたいな記事も増えたから嬉しいけど。

Y:確かにロンドンパリとは違うかも...特に、今回案内したところは愛すべき庶民のガラクタ市ですね。私は平均したら月2回くらい行くかなあ。ほどほどにしないと見るとほしくなっちゃうし、適度な新鮮味も保ちたいし。

BR:月2回でも行けるなんて羨ましいよ(笑)。ヨーロッパの市の魅力って独特ですもんね。ベルリンはやっぱり旧東時代のモノが多かった感じがしますね。見所は多いけど、並べ方が雑だから目がキョロキョロして(笑)。そこまで雑貨フリークでもないし、とにかくその「場」が楽しいから、雰囲気を味わうだけで満足したのが今思えば残念かも。

Y:業者は別として個人が出してる場合はおもしろいですよ。旧東ってやっぱり生活様式がまったく違ったから。私達にも馴染みのあるような雑貨の中にも違う流れの物があって、そういうのをよく見てみれば大体旧東ものだったって事が多い気がする。

BR:ポストカードにもなってたけど、鳥の形をしたカラフルな...

Y:エッグスタンド*でしょ!あれは本当に東の雑貨の代名詞みたいな存在。人気あって復刻したんですよ。こんなこと稀な現象じゃないですか、きっと。裏をひっくり返して「EVP」じゃなく「made in Germany」だったら復刻版です。

BR:市で探す古本も、ヨウコさんの『ダス・マガジン』みたいに欲しいものがあると、より深い楽しみが見つけられそう。いいな。

Y:そう、私のベルリン古書ハンティングはすべてこの『ダス・マガジン』から始まったと言っても過言ではないの。もう熱いですよー。市に行って「あのあたり?」って思って本当に見つけられたら「わたしすごい!」って思うし、逆だと「まあ今日はこんなもんか」ですけど(笑)。

BR:それはある。ないかな〜って考えてて眼前に急に出てきた時とか、呼吸を整えたりしますねえ。それもこれも普段からコツコツ探してるからこそ、訪れる瞬間なんですよね。


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BR:ところで別に旅巧者でもない私が「旅行」じゃなくて「旅」について語ること自体おこがましいのですが....欧州でいろいろ行ってるヨウコさん、自分なりの旅の楽しみってありますか?

Y:なにをおいても地図!行き先がドイツ国内(特に東側)の場合まず事前に地図を購入します。60-70年代あたりの文化に興味があるので、あえて古書店や蚤の市などで少し古いガイドとか地図*を買ったり。そうすると、当時の行楽文化なんかも垣間見れるんですよ。店名を引き継いで今も営業してるカフェを確認したり、廃虚になってるけど看板から「以前確かにここにホテルやお店があったんだな」と推理する作業を、現地で古い地図と照らし合わせたりするような散策がすごく面白い。江戸の古地図片手に散策してるおじさま方とやってる事はそんなに変わらないかも。

BR:私は小・中・高と暇な授業はもっぱら地図帳見てました。今でも高校時代の立派な地図帳持ってますよー。そこではロシアはまだソ連だしチェコはチェコスロバキアだしベルリンはまっぷたつです。年がばれますが....私たちの共通点は地図好きなとこですね。

Y:女性で地図好きって珍しくないですか?そんなことないのかな。

BR:どうかな?そうなのかも。でもその中でも古地図が好きな女性は更に珍しいでしょうね(笑)。少し昔の地図を見る、どこに住んでも応用できる町歩きの別の楽しみ方かも。

Y:ベルリンや京都のような町は特にね。

BR:鉄道の旅も大陸ならではだなあって改めて思った。今回はベルリン→プラハと移動したんですが、たった6時間で言葉も風景もまったく違う異国に行けることに改めて驚いたり喜んだり。ドイツの人もプラハにはとても多くて。すぐ異国に行けていいなあって思った。私たちはえっちらおっちら飛行機にのってようやくエトランゼになれるのに。森茉莉や林芙美子なんて更に船だし。

Y:うん、つながってますよね。鉄道はローカル線が基本的に好きかも。エーミールが乗ったみたいなコンパートメント*がいいですね、なんだか部屋をあてがわれたみたいで。景色も麦畑に羊に牛、点々と家があって道の両脇の並木....いつも寝ちゃうんですけどね。


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Y:ところで「ホテル・ウンターデンリンデン」*が危ないって噂があるんですよ。

BR:えっ!あのウンターデンリンデン通りの象徴的ホテルが....玄関前には本当に菩提樹並木があって。

Y:やっぱり場所も一等地だし、もっと洒落た新しいものを建てたい企業があるみたいで。まだ未確定ですけど。

BR:約1週間いたんですけど、ホテルに集うお年寄りたちが印象的で。フロントに降りるたびに常に銀髪の団体さんが「グーテンターク!」って元気よく入ってきてて、パワーに思わず圧倒される。特にご婦人の集まりがいい感じだな、と思って見てたんです。旧東のお年寄りがベルリンに来る玄関口でもあるような雰囲気。インテリアからサービスから、あんなオスト的ホテルをなくすのは、もう、ダメですよ〜って日本からどう叫んでも届かないけど...。これからベルリンに行く人がいたら今の内に勧めたいですね。ひと味違うホテルライフが楽しめます。

Y:ふんばって欲しい!ですよね。

(2003年11月5日)
emil


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