*読んだ本、ただ見かけただけの本、感想、紹介、覚え書きなどいろいろを気が向いた時に。

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2007年〜

2002年〜2003年
kinkon  友人が東京で営む絵本屋&ギャラリーで遭遇。1ページめくり即購入。もともと高知県ファンという嗜好があるとはいえ、この漫画はいい!と思う。金婚式を迎えるおじいちゃんとおばあちゃんの老夫婦が主人公。そこに5歳児の孫たくみ君が加わり(あまり若夫婦は出てこない)、土佐弁を駆使しながら、日常のなんでもない家族の風景を4コマにして見せてくれる。そしてそれが本当に笑える。新聞連載の4コマ=笑えない、をいい意味で裏切ってくれる。なにより、「とろこい」おばあちゃんも剽軽なおじいちゃんも可愛いたくみもいわば「毎日が日曜日」な人たち。毎日が日曜日になれば、退屈どころかこんな楽しい日々が待っているんだなあ、と夢想したくなる。高知県民のみなさんまっことうらやましいぞ。しかし回を追うごとに当然ながら描線がうまくなっているのが残念なような。(06.11.27)

「きんこん土佐日記1」  村岡マサヒロ / 高知新聞社 / 2006年


82  この人のように今あるすべてを捨てて、最果ての地にひとり赴く事が自分にはできるだろうか...。捨てる。それがどれほど大きい事か、あるいは意外と何でもない事だったのか、それはやってみないとわからない。(最果てとは言っても)北海道は阿寒のほとりのアイヌびとが住む場所に飛び込み、人生のフィールドワークのように、生活の場での一種の修練を行ったこの女性を、今は驚きながら遠くに感じるけれども、いつか近しく思う時も来るかもしれない。誌上で交わされる意見も興味深いが、やはり自分の内部での答えを聞きたくなる。ワンテーマを決め、鶴見俊輔と共に演者の話を聞くこのセミナーシリーズの中でも異色の一冊。(06.7.19)

「ある女性の生き方〜 茅辺かのうをめぐって」  那須耕介 / 編集グループSURE / 2006年


82  猫猫猫!猫のいない生活なんて考えられない。そんな私ですが、あまり猫の事が書かれた本は読まず、ましてや写真集などのいわゆる「ねこぼん」なんて食指も動かなかったのですが...この本に出会った瞬間、まず表紙の中島らも猫=「とらちゃん」の瞳のアップにハッと心が洗われるような気がし、裏表紙の室生犀星猫=「ジイノ」の前足にウッと胸を押さえてしまい。自分の愛する作家たちが愛した猫たち。そう思うと、作家の私生活に去来した動物への無償の愛とその豊かな想いと経験がこの一冊に凝縮されているような気がして、自らの猫への姿勢にも照らしてしまうのでした。猫猫猫猫...猫がいっぱいだ。(06.7.16)

「作家の猫」  平凡社 / 2006年


82  翻訳ミステリーやSFが好きなら、いやでも覚えてしまう名前が次々と登場する。翻訳者や出版人として活躍したそれらの人々を、早川書房の編集者として、また著作権エージェントのタトル商会の社員として見守り続けた筆者の、愛憎なかばする文章に迫力があって面白い。鮎川信夫の翻訳者としての顔、田村隆一の編集長ぶり、福島正実のSFへの情熱、大久保康男、常盤新平、早川清らの横顔....。主に早川書房を舞台とする、戦後ミステリ翻訳の歴史をたどった文章の行間から感じとれる当時の熱っぽさ。早川が翻訳権を保持したまま品切れが長く続く名著も多くあるなあ、という感想も同時に。(06.5.10)

「戦後「翻訳」風雲録」  宮田昇 / 本の雑誌社 / 2000年


82  この表紙が続くあいだずっと、『ちくま』の最新号を楽しみにしていた。フジモトマサル描く動物たちが色んな場所いろんな状況でただひたすら本を読んでいる。時には夜行列車、時には祖父の書斎、時には居残りの図書館で。本好きの人が見たら「ああこれは自分だ」と思う一枚がきっとある。そんな、愛らしく微笑ましく懐かしく、そしてとても本が身近に感じられる24枚の絵。そこに吉田篤弘のささやかな物語が添えられているが、それはまたそれとして、とにかくこの表紙集はそれ自体で素晴らしい。ちなみに、私が「自分だ」と思ったのは、21枚目のキッチンで本を読むリス。(06.3.12)
「という、はなし」  吉田篤弘 文、フジモトマサル 絵 / 筑摩書房 / 2006年


82  山田稔の最新刊。今まで読んだこの作家の著書はすべて、私の中でも鮮明で幸福な読書の思い出となっている。さらりとして懐かしくて上質のユーモアが美しい、と、どう書いても陳腐になるのだけれど、読んでいてはっとさせられる文章や言葉が必ず一冊に数カ所ある。そんな経験が出来るだけでも本当に幸せな事だと思う。京都在住、今年で76歳。随筆の中でも私の住む町のすぐ近くが頻繁に出てくる。それを読むとなんだかいつも目頭が熱くなる気がする。著者の追憶に感化され、まるで自分の目の前の事柄が過去のようにみえてくるのかもしれない。他の作家では絶対にこんな事は起こらない。(06.1.24)
「八十二歳のガールフレンド」  山田稔 / 編集工房ノア / 2005年


eureka  原口統三『二十歳のエチュード』を皮切りに、戦後のモダニズム詩壇を支えた版元「書肆ユリイカ」。その創業者の貴重な仕事の記録が遂に復刊されました。中村真一郎、稲垣足穂、清岡卓行、安東次男....名前を聞いただけで胸ときめく詩人たちの配列。詩と精神と人生の書であると同時に、一人の若者のほの明るい青春の記でもある本書。日本エディタースクールから70年代に出ていたものがようやく再登場したのですが、それは遅すぎたぐらいの名著です。その分、口絵には数々の出版物がカラーで登場し美しい姿を見せてくれ、大岡信の解説もついているのが嬉しい。(05.11.15)
「詩人たち ユリイカ抄」  伊達得夫 / 平凡社ライブラリー / 2005年


kinosaji  松本のギャラリーで見かけてから、木の作家・三谷龍二さんの作る物に何となく心惹かれるようになりました。こちらは秋に出た新潮社の新刊。手が不自由になって、うまく箸があやつれなくなった人のために木のフォークを作り、木の端切れで小さい人形を作り、ベストセラーの表紙に使われるオブジェも制作する物づくりの風景。つるつるした紙に載せて、物ひとつひとつの写真が実に美しい。くすんでいるのにどこか厳かな雰囲気を持つ、三谷さんによって木から生み出されたそれら小さな物の形がとても好きです。松本で求めた、マフラーを巻いてソリに乗った少年の木人形は、横5cm、高さ2.5cmくらいか。(05.11.13)
「木の匙」  三谷龍二 / 新潮社 / デザイン:アリヤマデザインストア / 2005年


image  ミケランジェロ、ダ・ヴィンチ、デューラー、ジョルジョーネ。ルネサンス期のこの4人の代表作を中心に、その絵画に秘められた思想を、歴史、社会、風俗等の観点から読み解く「美術史入門書」。イコノロジーやイコノグラフィなど難しい事はさておき、切れ味のよい若桑先生の授業はとにかく面白い。実際に授業を受けられる学生が羨ましい。そして読み終わった時は、その「難しい事」がもっともっと知りたくなってくる。著者の他著書はもちろん、パノフスキー、ヴァールブルク、バルトルシャイティスなどに進む決意などもついしてしまう。実際に読めるかどうかは別として、読者をそんな気にさせる本こそ本当に優れた入門書なのでしょう。そして、末尾の「美術史を本当に学びたければ日本語ではダメです、最低、英・伊・独・仏語が必要」と、小さい文字で書かれた一文に学問の厳しさと遠さを知る。(05.9.6)
「イメージを読む」  若桑みどり / ちくま学芸文庫 / 2005年


syusyu  美意識が強い、というのは幸か不幸かわかりません。普通の人間にはこんなにも真剣に物に対峙する事ができない...五感すべてを使って物を引き寄せ愛でる。紛れもなくこれもひとつの才能だと実感します。帯にある「永遠なるもの」への讃歌という言葉が美しい。初版は昭和31年。装幀は芹澤けい介そのまま。中公文庫は最近かつてのように渋いラインナップを復活させつつあるように見えますが、これもそのうちの嬉しい復刊の一冊。講談社文芸文庫と並んで渋いシリーズをぜひ保持して欲しい。価格も文芸文庫に負けない1500円なり。(05.5.16)
「蒐集物語」  柳宗悦 / 中公文庫 / 2005年改版発行


syusyu  発行から3ヶ月で既に4刷、早くも本年度ナンバーワン(04年の暮れ発行ですが)の呼び声高い、DTの伝道師みうらじゅんによる身も心も大人になるための本。面白すぎるという月並みな事しか言わずにごめんなさい。100%ORANGEさんの純な絵がまた素敵です....「お母さんはあなたを産むために痛いのを我慢してセックスしてくれたのです」「俺は育児を放棄したまかせる、と奥さんに言う場合には、これも国会で決まりましたが、年収が1億円以上ないといけません」「生まれることと死ぬことは、人は自分では決められません。決めてはいけないのです」(05.3.24)
「正しい保健体育」  みうらじゅん / 理論社(よりみちパン!セシリーズ) / 2004年







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